「今度、ハナミズキの花をプレゼントしてもいいかな?」

桜士がそう言うと、一花は「フフッ」と笑いながら言う。

「なら、私からはバラの花をプレゼントさせてください。色は赤で本数は三本。これが、私からの答えです」

ああ、やっと本当の気持ちが聞けた。桜士は幸せで泣きそうになりながら、一花をもう一度抱き締める。

この想いは、決して叶わないと思っていた。

自分が幸せになることなど、決して許されないと思っていた。

人を騙し、嘘を吐き続ける最低な人生だった。

人を救い、人を傷付ける矛盾した人生だった。

でも、こんな俺に一筋の光が差した。

でも、こんな私に春風のようにあの人が現れた。

彼女には嘘を吐かなくてよかった。

彼が諦めてくれなくてよかった。

この手を、もう決して離さない。