多くの芸能人や会社社長、政治家などが御用達にしているという高級料亭の一室にて、桜士は一応上等なスーツに身を包み、安藤警視正と共に座っていた。二人の向かい側には、桜士のお見合い相手である速水瞳(はやみひとみ)とその父親の速水薫(はやみかおる)が座っている。

「いや〜、こんなに優秀な人を紹介してもらえるなんて思わなかったよ!やっぱり人脈は大事だな!」

薫はそう言いながら料理を次々と口に運び、豪快に笑う。その隣で豪華な振袖を着ている瞳は、どこか居心地が悪そうに料理を口に運んでいた。

桜士と瞳は自己紹介をお互いしたきり、何も話していない。ただ、薫と安藤警視正が話しているだけである。

「そういえば、九条くんは医師免許を持っているとか?」

「ああ、持っているよ。そのおかげで彼は病院に潜入し、あの国際テロ組織を壊滅させることに成功したんだからね」

「あの組織を!すごい人と見合いさせてもらっているんだな〜」