「「「「「は?お見合い!?」」」」」

個室のあるレストランの一室に五人の声が響く。桜士は声を出した全員に「シッ!声が大きい!」と慌てて言った。

「ごめんね。でも、お見合い相手って一花じゃなくて警察官の娘さんなんだよね?びっくりして……」

チリ出身の外科医であるクラウディオ・エルナンデスが謝る。彼は自身の気持ちを落ち着かせるためにお冷やを飲もうとしたものの、その手は微かに震えていた。

「お前、散々一花にアプローチしてたくせに、「見合いしろ」って言われたらすんのかよ!最低だな!」

ウガンダ出身の小児外科医であるヨハン・ファジルがドンッと拳でテーブルを叩き、怒りを表す。そんな彼に桜士はため息混じりに言った。

「俺だって見合いなんてしたくないんだ。でも警察は縦社会だから、会うだけは会わないといけないんだよ」

「日本の警察って面倒臭いんだな。アメリカじゃ絶対そんなこと言われないよ」

アメリカ出身の麻酔科医であるアルフレッド・ブレイディが同情するような目を向け、目の前に置かれた天ぷらに口をつけた。