桜士がまた新しい事件の捜査か、と思い真剣な顔をして立ち上がると、「ちょっとこっちに来てくれ」と安藤警視正が空き部屋に向かって歩き出す。桜士は「またどこかへ潜入捜査しなくちゃいけないのか?」と思いながら、空き部屋に入った。
「安藤警視正、次はどういった事件の捜査ですか?」
桜士が訊ねると、安藤警視正は「いや、今回は捜査じゃないよ」と言いかばんの中から何かを取り出す。それは、お見合いの際に用意される釣書と呼ばれるものだった。
「私の旧知の警察官部の方が、娘さんの結婚相手を探していてね。優秀な警察官がいいと言っていたので、九条くんのことを話したんだ。そしたら、先方がぜひ一度会いたいと言っていてね」
「は?」
桜士の口から声が漏れる。自分の知らないところでそんな話が進んでいたなど、全く知らなかった。
「安藤警視正。お言葉ですが、僕にはその……ずっと想っている人がおりまして……」
優秀な警察官がずっと独身でいると、こうして上司がお見合い話を持ってくることもある。だが、桜士は一花に恋をしている。お見合いを受けるわけにはいかない。
「安藤警視正、次はどういった事件の捜査ですか?」
桜士が訊ねると、安藤警視正は「いや、今回は捜査じゃないよ」と言いかばんの中から何かを取り出す。それは、お見合いの際に用意される釣書と呼ばれるものだった。
「私の旧知の警察官部の方が、娘さんの結婚相手を探していてね。優秀な警察官がいいと言っていたので、九条くんのことを話したんだ。そしたら、先方がぜひ一度会いたいと言っていてね」
「は?」
桜士の口から声が漏れる。自分の知らないところでそんな話が進んでいたなど、全く知らなかった。
「安藤警視正。お言葉ですが、僕にはその……ずっと想っている人がおりまして……」
優秀な警察官がずっと独身でいると、こうして上司がお見合い話を持ってくることもある。だが、桜士は一花に恋をしている。お見合いを受けるわけにはいかない。