Cherry Blossoms〜あなたに想いの花束を〜

「ごめんなさい。本田先生の気持ちにお応えすることはできません」

一花は申し訳なさそうに断りの言葉を口にする。その顔はどこか苦しげに見えた。

「そうですか……」

桜士はいつもの答えに無理に笑みを浮かべる。何度断られてしまっても諦められない。だが、断られるとその度に心に傷は作られる。

桜士は一花とデートをするたびに告白をし、振られるのを繰り返していた。



翌日、桜士はスーツを見に纏い公安部にて仕事をしていた。だがその顔はいつもより少し暗く、何度も自然とため息を吐いてしまう。そんな桜士を見て、後輩の灰原十(はいばらみつる)が話しかけてきた。

「九条さん!ちょっと暗いってことは、もしかしてまた告白して振られたんですか?」

「うるさいぞ、灰原」

桜士が一花のことが好きで、そして毎回デートのたびに告白をして振られていることは、いつの間にか公安全体に知られており、十はよくその話題を持ち出してくる。