加那太はやましい気持ちがあったから、私には一切告げずにこっそりと百合菜と会っていたのだと思う。
卒論があるから忙しいと言っていたのはウソかもしれない……私を騙していたのかもと疑念が生まれる。
もしかしたら最初からずっと二股されていたのではないかと、最悪なことまで考えが及んだら頭が痛くなってきた。
それとも百合菜とは最近になって親密な関係になったのだろうか。先日、加那太の部屋が片付いていたのがその証拠のような気がする。
「加那太は私と別れて百合菜と付き合うの?」
「ああ。ふたりでそうしようって決めた」
加那太の発言が信じられなくて、大きくかぶりを振った。
だとしたら百合菜は以前から加那太のことが好きだったということになるが、大学で彼女と顔を合わせてもそんな様子は見受けられなかった。私に言えずに隠していただけかもしれないけれど。
「私との付き合いはなんだったの。二股なんて酷いよ」
「俺ばかり責めるなよ。付き合ってからずっと、キス以上のことを拒んできた冴実だって酷いだろ。身体の関係はなくても一応付き合ってはいたから、最後にこうして食事をして終わろうと思ったんだ。これは俺なりの誠意」
きちんと誠実に別れ話をしていると言わんばかりの彼の開き直った態度に目を疑った。
それと同時に、もう関係は修復不可能だと思い知った。加那太の心はとっくに百合菜へと移ってしまっている。
「だいたい冴実は重いんだよ。なのにセックスだけは嫌がるって……子どもじゃあるまいし」
加那太から迫られることはこれまでに何度もあった。
だけど私はまだ男性経験がなくて、キスより先に進もうとすると怖くて身体が自然に震えてくるから、いつも彼が途中であきらめてくれていた。
それは私に対する思いやりだと捉えていたけれど、彼は心の中で腹を立てていたのだと今になって知った。
「私は真剣に加那太だけを思ってたよ」
「お前のそういうところが嫌なんだ。俺たちは合コンでたまたま気が合っただけじゃないか」
私は最初から愛されてはいなかったのだ。彼からしたら、なんとなく付き合う流れになって今に至っているだけだった。
もしも彼とベッドを共にできていれば、こんな結末にはならなかったのかもしれない。
加那太のことは大好きなのに、どうして彼のその要求にだけ応えられなかったのか、自分でもわからないのだけれど。
卒論があるから忙しいと言っていたのはウソかもしれない……私を騙していたのかもと疑念が生まれる。
もしかしたら最初からずっと二股されていたのではないかと、最悪なことまで考えが及んだら頭が痛くなってきた。
それとも百合菜とは最近になって親密な関係になったのだろうか。先日、加那太の部屋が片付いていたのがその証拠のような気がする。
「加那太は私と別れて百合菜と付き合うの?」
「ああ。ふたりでそうしようって決めた」
加那太の発言が信じられなくて、大きくかぶりを振った。
だとしたら百合菜は以前から加那太のことが好きだったということになるが、大学で彼女と顔を合わせてもそんな様子は見受けられなかった。私に言えずに隠していただけかもしれないけれど。
「私との付き合いはなんだったの。二股なんて酷いよ」
「俺ばかり責めるなよ。付き合ってからずっと、キス以上のことを拒んできた冴実だって酷いだろ。身体の関係はなくても一応付き合ってはいたから、最後にこうして食事をして終わろうと思ったんだ。これは俺なりの誠意」
きちんと誠実に別れ話をしていると言わんばかりの彼の開き直った態度に目を疑った。
それと同時に、もう関係は修復不可能だと思い知った。加那太の心はとっくに百合菜へと移ってしまっている。
「だいたい冴実は重いんだよ。なのにセックスだけは嫌がるって……子どもじゃあるまいし」
加那太から迫られることはこれまでに何度もあった。
だけど私はまだ男性経験がなくて、キスより先に進もうとすると怖くて身体が自然に震えてくるから、いつも彼が途中であきらめてくれていた。
それは私に対する思いやりだと捉えていたけれど、彼は心の中で腹を立てていたのだと今になって知った。
「私は真剣に加那太だけを思ってたよ」
「お前のそういうところが嫌なんだ。俺たちは合コンでたまたま気が合っただけじゃないか」
私は最初から愛されてはいなかったのだ。彼からしたら、なんとなく付き合う流れになって今に至っているだけだった。
もしも彼とベッドを共にできていれば、こんな結末にはならなかったのかもしれない。
加那太のことは大好きなのに、どうして彼のその要求にだけ応えられなかったのか、自分でもわからないのだけれど。



