「好きだよ、南月」
「私も好きだよ、理央」


そして私たちは一段階うえの、レベルアップしたキスをする……予定だった。

のに――


「りーおー!!!!」


「え」
「!?」


階段の一番下から、アリスさんの声が聞こえた。

この声は……と、私と理央の顔が、ギギギと錆びたロボットみたいに動く。


「隠れたって無駄だからね!理央―!!」


「行った方がいいんじゃない?」
「ぐっ……、そうだね……」


理央はすごく悔しそうな顔をして、私から離れた。

名残惜しかったけど、理央のその表情が可愛いから……それだけで満足できた。


「じゃあ理央、先に教室に帰ってるね」

「ごめんね、南月。アリスには、南月との事をちゃんと話すから。

だから――待ってて」