「えっと、南月にちゃんと自己紹介するのは初めてかな?」

「“ちゃんと”……?」


え?ちゃんとって、どういう意味?

だけど、私の伸ばした手は固まる。私が近寄る前に、美女が理央の腕を掴んだからだ。


「理央〜もう!どっち向いてるのよ!」

「え、ごめ、」


謝ろうとした理央。だけど美女によって――その口は、パクッと食べられてしまう。

つまり、キス。


「こっちよ理央、ちゅ♡」

「っ、ん!?」



「え、」


ええええええええぇぇぇ!!!?

理央が、私の目の前でキスした!
私以外の女の子と!!
キスした!!!!

開いた口がふさがらなくて「り、り……」と繰り返す。ショックで頭が働かない……。さっき見たのは、本当に現実!?