両手で顔を覆って「耐えろ俺、耐えろ」と、自制する理央。

反対に、浴室で意気込んだ私だったけど――結局。彼の意向により、早いタイミングで「寝る場所は別々で」と判断が下る。


「じゃあ、おやすみ南月」

「お、おやすみ。理央」


寝る時に、さっきのキスがもう一度あるかな?と思いきや、それもなく。

肩透かしを食らった私は「まぁそんなに焦らなくてもいっか」とビックリするほど熟睡してしまう。


だけど、私は知らなかった。

翌朝の登校中に、これから嫌でも「焦る事態」になる事を――


「りーお!」

「え? っ、ん!」


まさか自分の目の前で、理央のキス現場を見ることになろうとは。

前日の私は、知る由もなかった。