「明日から生殺し……だよね。どうしよう、襲わないように気を付けないとな」


あはは……と力なく笑う理央の顔に、似合わない哀愁が漂う。


「健全な男子高校生とは何たるや」を知らない私を相手に、これから理央が苦労するのは……言う間でもなく。


案の定、翌朝。


「ねぇ理央。まだ付き合ってないけど、両想いなわけだし……。

誰も見てないところでなら、手を繋いでもいい?」

「ぐ……っ」

「”ぐ?”」

「も、もちろん。いいよ……っ」

「すごい汗だけど大丈夫!?」


朝っぱらから、ピュアと欲望の塊が――

静かな戦いを、繰り広げていたのだった。