「え……」

「”日本語の勉強を頑張った”――さっき言いたかったのは、それだけじゃないでしょ?」

「……」


アリスちゃんは、だんだん勢いが弱まって来たジュースに触れる。その際、太陽くんから「ベタベタするよ?」と忠告されたけど、気にしなかった。

泡が消え、中身がクリアになる。ジュースの残りは、半分を切っていた。


「……私の心も、これくらい軽くなればいいのにね」

「……」


ジュースを見つめながら、アリスちゃんは呟く。太陽くんは、もう返事をしなかった。


「理央の傍にいたい。だけど迷惑はかけたくない。だから……勉強を頑張ったの。前、日本に帰ってきた時。私が日本語を喋れなくて、理央にすごく迷惑かけちゃったから」

「へぇ。そんな事があったんだ」