「食い物って……。俺を一体どういう目で見てるの。アリスちゃん」

「そういう目よ」


フンと言ってのけたアリスちゃんは、太陽くんの隣を歩くのも嫌になったみたい。わざと歩幅をズラして、太陽くんの後ろを回った。

太陽くんが文句の一つでも言うのかな――と思いきや。

彼は「仕方ないねぇ」とだけ言って、素直にアリスちゃんの前を歩く。


「強情なお姫様だなー」

「そういう歯が浮くようなセリフ言わないで。耳障り」

「アリスちゃん、帰国子女のわりに難しい日本語知ってるね。すっごい勉強したの?」

「!」


太陽くんの言葉に、ピタリと足が止まったアリスちゃん。

そんなアリスちゃんを察してか、太陽くんも歩くのをやめて振り返った。


「……どうしたのさ。そんなしおらしい顔して」