「高瀬君、何?」
 「え、ああ、別にい」
 「どうしてここが」
 「えっとおおお、あのう、ストーカー」
 「え、ストーカー」
 「あ、ごめん」
 と、高瀬君はうつむいた。
 「く、黒田さん、友達だから」
 「なら声かけてくれれば」
 高瀬君は顔をあげた。
 「あ、そうか」
 「もおおおおお」
 チセは何かを感じた。公園の入り口を見た。
 「どうしたの?」
 と、高瀬君。
 公園の入り口からいかつい男たちがやってくる。
 「ん、なんだ、あれは」
 大柄な男がいた。高瀬君と同じくらいの背丈だ。金髪に染めていた。男を二人ひきつれていた。
 「おい」
 と、大男。
 「ん、僕」
 と、高瀬君。
 「お前以外誰がいるんだよ」
 と、大男。
 「僕になんか用?」
 と、高瀬君。
 「お前、売れっ子モデルなんだろう」
 「うん。ファッションマスターなんだ」
 「ん、なんだよファッションマスターって」
 「知らないのお」
 「知らねえよ。とにかく売れっ子モデルでかせいでんだろう」
 「うん」
 「そうか、じゃあ、金いっぱい持ってるだろう」
 「うん」
 「ならその金よこせ」
 「いいよ」
 「え」
 不良たちはうろたえた。
 「な、なんだよ、なめてんのかお前」
 「え、なめてないよ。お金ほしいんでしょ。いくらほしいの?」
 「て、てめえ、なめてんじゃねえぞ」
 「た、高瀬君、何言ってんの」
 と、チセ。
 「この人たちがお金ほしいって」
 「あ、いや、なんでお金あげるの」
 「いや、だからこの人たちがお金ほしいって」
 「失礼だよ」
 「えええええええええ」
 「てめえ、なめやがって」
 と、大男が高瀬君の前に来て、襟をひっつかんだ。
 「え、えええええええええ」
 「ちょ、ちょっと何するんだよ。お金ならあげるって言ってんじゃん」
 「そういうとこ」
 と大男。
 「え」
 と、高瀬君。
 「貴様なめてんじゃねえぞ」
 「黒田さん、逃げて」
 「はあ。彼女の前でええかっこうしやがって」
 と、男。
 「あ、いや、やめてください。この人とは友達であって、恋人とかでは絶対にないんで」
 と、チセははっきりいった。とてもあせっていた。
 「ははははは」
 と、男がからからと笑った。
 「おい高瀬、ものの見事にふられちまったなあ」
 「ええええええ、まあ、うちの学校不純異性交遊禁止だからなあ」
 「そういうこといってんじゃねえんだよ。あの()がお前の恋人扱いがいやだっていってんだよ」
 「と、とにかく黒田さん逃げて」