チセは人気のないとこを歩くことが多かった。人気のない野外をぶらぶらしていた。
 何か人の声がした。
 そこには背の高い、制服のボタンを全部外した男子がいた。何か話していた。あたりには誰もいないが、チセには見えていた。
 それが・・・・・・。男子の手に何かがのっていた。男子はそれと話している。それがチセに気付いた。
 「ご主人さま・・・・・・」
 と、男子の手にのっているものが言った。
 「どうした」
 「あ、いえ、あすこに特別なものがいるものですから」
 男子はチセを向いた。
 「君は・・・・・・」
 チセは近づいて行った。
 「私、黒田チセといいます」
 チセはか細い声でいった。
 「ああ、俺、東条朝都、生徒会長やってる」
 「生徒会長」
 「そう」
 チセは生徒会長の手にのっているものを見た。
 「君にはこいつが見えるの?」
 テントウムシのように見えた。
 「テントウムシみたいな」
 「テントウムシではございません。テントウムシのような妖精の星子と申します」
 「そうなんだ」
 と、チセ。
 「へえ、声も聞こえるんだあ?」
 「え、ええ」
 「こいつが君のことを特別だっていってるんだけど」
 「私、小さいころからいろいろ見えるんです」
 「そうなんだ」
 生徒会長は星子を見た。
 「特別ってそういうこと?」
 「違います。ご主人様」
 「え」
 と、生徒会長。
 「それ以外で特別なのです」
 「それは一体?」
 と、朝都。
 「それはまだ申せません」
 「なんだよそれ」
 と、朝都。
 「・・・・・・」
 星子はチセをまじまじと見てきた。
 「そろそろ授業だ。行くか」
 と、朝都。
 「じゃあ」
 と、チセに言った。
 「さようなら」
 と、チセ。
 朝都は行った。