高瀬君はチセのほうを向いて言った。
 「でもさあ、僕たち友達だよね」
 「え」
 と、チセ。
 「え」
 と女子。
 「握手したんだからあ、僕たち友達だよね」
 と、高瀬君。
 「と、友達?」
 と、チセ。
 高瀬君は怪訝な顔をした。
 「だってえ、友達じゃなかったら、握手なんてしないでしょう」
 え。
 「違うのお、じゃあ黒田さんはあ、なんで握手してくれたのお」
 「え、なんでって、いきなり握手してくれって、言うから、流れって、いうか、のりっていうか」
 高瀬君は満面な笑みを浮かべて言った。
 「やっぱり友達なんだあ」
 「え」
 「だってえ、友達じゃなかったらあ、流れとかのりとかで、握手なんてしないじゃん」
 チセは赤くなった。女子たちが青くなった。高瀬君はカバンから包帯を出した。え、一体何を、チセは思った。高瀬君は包帯で右手を巻きだした。え、何?と、チセ。高瀬君は包帯を巻き終わると、手をかざした。
 「じゃあん、僕の手には魔力が封印してあるのだあ」
 「さあ、行こう」
 と、高瀬君は促した。