高瀬君はチセの手を握った。チセは赤くなった。女子たちが呆然としている。高瀬君は手を放した。高瀬君はチセと握手した右手をまじまじと見つめている。
 「ようし、これであれができるぞ」
 と、高瀬君。
 「え、あれって」
 チセは狐につままれたような気持ちになった。
 高瀬君は握手した手をあげた。
 「え、何を」
 と、チセ。
 「悪魔族黒田さん、我に力をおおおお!」
 高瀬君は言った。
 「一体何を」
 と、チセ。
 「ドラグティック・アタック!」
 高瀬君は叫んで、手を前へやった。
 「・・・・・・」
 「あれ、ドラグティック・アタック」
 「・・・・・・」
 あたりはーシーンとなり、皆が呆然としている。高瀬君は右手を見た。
 「やっぱだめかあ」
 「た、高瀬君、一体何を」
 「あ、ああ、黒田さんと契約したから、ドラグティック・アタックができると思ったんだけど、やっぱ、だめかあ」
 「け、契約って」
 「あ、ああ、悪魔族との契約だよ。握手したらできると思ったんだけど、だめだったかあ」
 「あーは、は、は、は」
 女子たちが笑っている。
 「やっぱ、高瀬君、からかってたんだ」
 と女子。
 や、やっぱりそうだったんだ、とチセは思った。