黒田家前。
 黒田家は二階建て。壁があった。
 チセ、高瀬君、朝都がたっていた。空はよく晴れていた。日が照っていた。
 「でもお、黒田さんの浴衣はいいなあ」
 と、高瀬君。
 「うん、似合ってる」
 と、朝都。
 「生徒会長も和服なんだ」
 と、チセ。
 「ああ」
 と、朝都。
 「じゃあ、俺が先頭行くから、君らはあとからついてくるんだ。一列で行くんだ」
 「らじゃあ」
 と、高瀬君。朝都が先頭を切った。そのあとを高瀬君がついていった。そのあとをチセがついていった。
 「しかし暑いなあ」
 と、高瀬君。
 「そうだな」
 と、朝都。
 「こんな暑い日にあいつがいてくれたら・・・・・・」
 と、高瀬君。
 「あいつって?」
 と、朝都。
 「え、知らないの?あいつさ」
 と、高瀬君。
 「あ、いやだからあ、あいつって?」
 と、朝都。
 「わからん?」
 と、高瀬君。
 「あ、いや、だからあ、わからんからきいとるんだろうが」
 「あいつさ」
 「なんだ」
 「アイスドラゴンさ」
 「なんだよ。それ」
 「知らない?」
 「知らねえよ」
 「わからん?」
 「わからねえ」
 「蒼天を舞う氷のドラゴンさ」
 「なんなんだよそれは?」
 「だからあ、アイスドラゴン」
 「それはさっきもきいた」
 と朝都は強くいった。
 「知らない?」
 「いや、だから知らねえっていってんだよ」
 朝都は怒鳴った。
 「ご、ごめん」
 と、高瀬君。チセが笑った。