チセ、高瀬君、朝都は、野いちご学園高等部の近所にある野いちご神社と周辺歩行者天国で開かれる夏まつりに行くこととなった。チセ、高瀬君、朝都は野いちご学園高等部の近所に住んでいた。夏まつりは10時からだった。チセの家に8時に二人が迎えに来ることになっていた。
 チセは朝早く起きて、自分の部屋で白い浴衣に着替えた。黒田家の二階だ。ぴんぽーん、と呼び鈴がなった。「あ、来た」とチセは思った。チセはドアを開けた。
 「あ、はい」
 と、父親の声がした。
 がちゃ、とチセの父、黒田誠は玄関のドアを開けた。誠はおでこだしのベリーショートだ。
 そこには、金髪のさらさらヘアに青い目の高瀬君と、黒髪ショート切れ長の目の東条朝都が立っていた。高瀬君はおしゃれな恰好をしていた。朝都はイヤリングをし、和服を着ていた。
 「わあ」
 と、高瀬君。
 「黒田さんのお父さんですね」
 と、朝都。
 「うん。君たちはチセのお友達だね」
 「はい。僕は生徒会長をさせてもらっている東条朝都と申します」
 と、朝都は丁寧にいった。
 「話はきいている。礼儀正しいね」
 と、誠。
 「僕は、黒田さんのクラスメイトの高瀬帳といいます」
 と、高瀬君。
 「うん。有名なモデルだってえ、すごいね。チセからきいてるよ。ちょっと変わってるって」
 「僕はチセの父で誠っていうんだ」
 と、誠。
 「お父さん」
 と、チセの声がした。チセが現れた。
 「わあ」
 と、高瀬君がいった。
 「おはよう」
 と、朝都。
 「おはようございます、生徒会長」
 と、チセはか細い声でいった。
 「おはよう、黒田さん」
 と、高瀬君。
 「高瀬君、おはよう」
 と、チセ。
 チセは草履をはいた。
 「じゃあ、お父さん、行ってくる」
 と、チセ。
 「行ってらっしゃい」
 と、誠。
 「お父さん、行ってきます」
 と、高瀬君。誠は咳払いした。
 「君にお父さんと言われる筋合いはないが」
 「あは、すいませんお父さん」
 と、高瀬君は笑っていった。
 「あ、いやだからあ」
 と、誠。
 「高瀬君、私もお父さんのこと、「お父さん」って言ってほしくないんだけど」
 と、チセ。
 「えええええええええ。ごめん。だってかっこよかったからあ」
 と、高瀬君。
 「え、かっこいい?」
 と、誠。
 「うん。さっすが、黒田さんのお父さん、かっこいいなあって思って」
 と、高瀬君。
 「えっへん。高瀬君、僕をお父さんって呼びたまえ」
 と、誠。
 「え、ほんとおおおおおお」
 「ああ」
 と、誠は笑っていった。
 「はい。お父さん」
 「もお、やめてよ」
 と、チセ。
 「まあ、いいじゃないか」
 と、誠。
 「いや、よくないよ」
 と、チセ。
 「ははは」
 と、朝都。