「うわあ」
 と、二人の男は大男を残して逃げて行った。
 「見捨てて逃げちまうとは」
 と、朝都。
 朝都は後ろを向いた。高瀬君とチセがいた。
 「生徒会長!」
 と、高瀬君。
 「お前は高瀬帳だったな」
 「うん」
 「改めて、初めまして」
 と、朝都。
 高瀬君は笑った。
 「初めまして」
 と、高瀬君。
 「俺は生徒会長をやらせてもらってる。3年の東条朝都っていう」
 「東条先輩かあ」
 と、高瀬君。
 「かっこよかったなあ」
 と、高瀬君。
 「そうだろう」
 と、朝都はどや顔。
 「でも、なんで黒田さん連れて逃げなかったの?」
 「え、なんでって、そんなの、決まってんだろ。弱ってるやつほっといて、逃げられっかよ」
 「あ、いや、そうじゃなくて、そうじゃなくて。黒田さんつれて逃げるついでに、警察でも呼んできてくれたらと」
 「あ」
 と、朝都はいった。朝都は笑って、片手を後頭部にやった。
 高瀬君も笑った。
 「もお」
 と、高瀬君。
 「あ、わりい、わりい」
 と、朝都。
 朝都の背後で、大男が立ち上がった。
 「あああああああああ」
 高瀬君は朝都の後ろを見てうめいた。
 「ん?」
 「東条先輩、後ろ」
 と、高瀬君。
 朝都は振り向いた。朝都はかまえた。
 「違うの、違うの、そうじゃなくて、そうじゃなくてえ」
 と、男がいった。
 「え」
 と、朝都。
 「え」
 と、高瀬君。
 男は土下座した。 
 「えええええええええええ」
 と、高瀬君。
 朝都は呆然としていた。
 男は顔をあげた。