「……それに、何か違う気がして」
「その違和感は……」
悲しそうに表情を歪め、目を閉じる。
かと思えば葵斗は真っ直ぐに葉緩へと手を伸ばし、立ち上がる。
手首を引っ張られ、体制を崩した葉緩がテーブルに腕をつく。
顔をあげると目の前には葵斗の顔があった。
「……えっ?」
――チュッ。
何度も執拗に葉緩の唇に、葵斗が同じものを重ねようとしてくる。
それを拒もうと葉緩は葵斗の二の腕を掴む。
「ちょっ、ここカフェ……」
「大丈夫、見えない位置だから。気配、隠せばいいよ」
「そんな簡単にっ……!」
吸い付くように重なる唇に飲み込まれていく。
音をたてて求めてくる葵斗に葉緩はくらくらした。
「んっ……は、ぁ……ん」
――呼吸が上手くできない。
ふわふわして、ぐちゃぐちゃして、何も考えられない。
どうして……葵斗にだけこんなドキドキするのか。
それも……嗅ぐことの出来ない匂いのせい?
その後すっかり溶けてしまったパフェは葵斗が食べてしまい、葉緩は新しく注文されたものを黙って食べることになるのであった。



