「葉緩、柚ちゃん大好きじゃん。良かったね、女の子の友達が出来て」
「あー、そういえば葉緩って昔から友達いないよなぁ。良い奴なのに不思議……」
「だいたいは桐哉くんのせいです」
二人の会話に葉緩はムスッと頬を膨らます。
「え、なんで?」
「意外と大変なんですよ? 的になるというのも」
「はぁ……?」
モテても偉ぶらない。
心は柚姫一筋。
素晴らしいけれども、いい人すぎて心配になる。
まさに察しが悪いのがたまにキズであった。
それは一度柚姫を困惑させたことにも繋がっていたので、もう少し押しに強くなってほしいというもの。
お節介なため息が漏れた。
「葉緩ちゃんはかわいいから大変だねぇ」
その言葉にハッとして葉緩は葵斗の手を離し、柚姫に抱きついた。
「姫が一番かわいいですぅ!」
「葉緩ちゃ~ん!!」
(うへへ、姫の腕の中。じゅるり)
心配そうに二人を眺める桐哉。
その隣ににっこりしたままの葵斗。
「葉緩はよくヨダレ垂らすよなぁ。 口がかたいのかゆるいのか、よくわからん」
「桐哉が心配することじゃない」
「……お前、実はオレのこと嫌い?」
「そんなことないよ?」
ニコニコと笑顔の輝きが増す。
それを見て桐哉は食えぬヤツと深く息を吐いた。
「……苦労するだろうなぁ」



