年下男子は天邪鬼

「やってくれたな」

私は盛大な溜息とともに呟いた。

「なんのこと?」

大地は白々しくとぼける。

「お腹はもう治ったの?」

先程とは打って変わってケロリとした様子の大地に私は呆れながら、問い掛けた。

「あれっ?おかしいな。
さっきまで痛かったのに、治ったみたいだ」

大地は私の隣で体を左右に捻って
完治したことをアピールする。

これは完全にクロだ。確信犯だ。

「安斉さん達、絶対変に思ったわよ!
どうすんのよ!!」

いくら安斉さんが優しいとはいえ、
直属の上司を相手に明日から気まずい思いをするのは大地だ。

「確実に詰問されるだろうねっ。
困ったな、どうしよう、、、ハハッ」

そう言って笑いながら窓の外を眺める大地は
全く困ってるようには見えない。
逆に楽しんでいるようにさえ思える。

私は呆れつつも、少し嬉しかったなんて
本人の前では言えない。