side依子

とうとうこの日が
来てしまった。

今日は仕事が終ってから
安斉さんとのお食事をする日だ。

依子は鏡に向かっていつもより
念入りに化粧をほどこしながら
すでに心臓は早く鼓動を打っていた。

ああ、安斉さんはどんな話題が
興味あるのだろうか...

それにお酒が強い女って
大丈夫なのかな。
安斉さん、引かないかな?
少し弱いフリをした方が良いだろうか?

色々、考えると少し気が重くなってくる。

大地とだったらそんなこと
考えたこともなかった。

これが恋の始まりということなのだろうか?

もう、久しぶりすぎて前の時に
どういった感覚で恋を始めたのか
覚えていない。

こんなことなら
大地に安斉さんが好きそうな話題
聞いとくんだった。

そういえば、大地とはあれから
顔合わせてないな...

なんだかつまらないな、、と
残念な気持ちが湧き上がった。

それからわたしは大地に選んでもらった服に
着替えるといつものように職場へと向かった。