誰だろう?宅配便かな?
何かネットショッピングで注文してたかなぁ?


依子はカーディガンを羽織り
パジャマを隠しながら、
インターフォンのモニターを覗くと
そこには大地の姿が写し出されていた。

しかも、モニター越しでも
かなり不機嫌な様子が伝わってくる。

今忙しいからあまり関わりたくないなぁと
思いながらも、早くでろと言わんばかりに再びインターフォンが鳴ったので
渋々玄関へと足を進めた。

ガチャリと玄関の扉を開けると
「遅い!」
と、イライラした様子の大地が立っていた。


「何よ?こっちは今忙しいんだから...」

依子は口を尖らせて抗議した。

すると、いきなり大地の顔が近づいた。

「な、なに?」

依子は動揺して半歩後ずさる。

キスされる!?

思わずギュッと目をつぶると

ドサッ

大地は依子の肩に顔を埋めた。


「う~...あたまが割れそう.....

薬ちょうだい」

大地が苦しそうに呟いた。


「く、くすり? 」

大地が依子の肩に顔を埋めたまま、
コクコクと頷いた。


「分かったから顔を退けて」

大地がゆっくりと顔を持ち上げた。


「探してくるたからちょっと待ってて...」


依子が急いで薬を取りにリビングへ向かう。


「もう、調子にのって飲み過ぎるからよ」

ぶつぶつ言いながら、
キャビネットの引き出しを漁っていると、
ヨロヨロとした足取りで大地がリビングに入ってきた。

「ちょっと、勝手に上がり込まないでよ」

大地は依子の言葉に
「うん...」と適当に返事をしながら
ソファーに寝転がった。

「返事と行動が一致してないんだけど?
まったく...
あっ!あった!」

依子は引き出しの奥から
頭痛薬を見つけ出し手に取った。