『映子さんの練習に付き合ってあげて』
私はニコニコ笑いながら、黒岩くんに伝えた。
心の奥の奥に、全く違う感情が沸き上がっていたのに。
『本当は映子さんと、二人きりになって欲しくない』
そんな嫉妬まみれのどす黒い闇が、渦巻いていたのに。
黒岩に嫌われたくない。
もっと私のことを好きになって欲しい。
自分の本音を押し殺し、良い人ぶってしまったけれど……
『白石由乃は、嘘つきだ』
縁結びの神様に気づかれて、嫌われてしまったんだ。
「由乃?」
いつの間にか黒岩くんが私の前に立っていて、「どうした?」と心配そうに私の肩をさすっている。
私の右肩に置かれた、黒岩君のゴツゴツした手。
はっきりと色づく赤い糸が、きゅっと結ばれている。



