私を閉じ込めていた黒岩君の腕が、机とイスの背もたれから離れていく。
逃げるチャンスは今しかない。
胸キュンで膨らみ過ぎている心臓が、はじける前に。
キュン死して、黒岩君に迷惑をかける前に。
そんなことは……わかっているけど……
でも私は、思ってしまうんだ。
黒岩くんに捕らえられたままがいいなって。
黒岩くんからの甘い視線で、もっと私の心を縛り付けて欲しいなって。
黒岩くんのごつごつした手が、椅子に座る私の左頬を包む。
見つめ合う私たち。
お互いの心が溶け合っているような感覚に、幸福をおぼえずにはいられない。
黒岩くんの色っぽい唇が近づいてきた。
自分の瞼をスーッと閉じた私は、唇が触れ合う前から黒岩くんの甘い熱に浮かされている。
口から洩れた黒岩くんの吐息が、私の唇にかかる。
大好きな人の唇の甘さを感じるまで
あと3秒……2秒……1秒……
ゼロ。



