「でも由乃は、まだわかってくれていないんだな」
ひぃあぁぁぁ。
背後から私の耳に、甘い声を吹きかけないでよぉ。
「大好きな女として俺の目に映ったことがあるのは、由乃、おまえひとりだけだってこと」
やめてよ……
後ろから抱きしめるのも……
「ほんと由乃のこと、一生離したくない」
愛おしい人を包み込むように、優しく抱きしめられたら……
私の心臓……
キュンキュンに耐えられなくなっちゃうんだからね……
耳の中がうるさい。
ドックンドックンって。
きっとこれは、私の心臓の音。
恥ずかしさが体中を駆け巡り、私の体温が上がり始めちゃった。
腕をほどいた黒岩くんが、机の下から椅子を引き出す。
キャスターが付いていて、座面は360度回転するコロコロ椅子。
「座って」と優しく促され、私は戸惑いながら腰を下ろす。



