え~い!


勇気を振りぼり、レストラン並みに広いお店の中へ。

入ってすぐのお惣菜コーナーで、私は足を止めた。


ほうれん草のお浸しを手に取りながら、意識はお店の奥の奥。

遠くから、レジ前にできた人だかりをチラチラチラ見。



女性がたくさんいる。

綺麗なお姉さんや、私と同い年くらいの女子高生。

セレブそうなマダムも混ざって、10人くらい。


目にハートを浮かべる女性たちの視線の先は、レジカウンターの向こう側に立つ黒岩くんで。

女性特有の猫っぽい甘え声が、飛び交っている。


離れたところで気配を消す私は、聞き耳ダンボ。



「潤くん、県大会優勝したんだって? すごいね~」