「彼女として至らないことだらけだと思うけど……よろしくお願いします……」


「そういうとこ、マジで可愛い」


「えっ?」


「恥ずかしそうにうつむいて、瞳をキョロキョロさせるとか。ほんと沼」


ヌマ?

いい意味? 悪い意味?



「ねぇ由乃」


「ん?」


「俺ってこういう暴走をするから、覚えておいて」



暴走……ですか?



私の頭の中が、ハテナで埋め尽くされていく。

でも次の瞬間、サッとハテナがいなくなった。


だって傘を持ったままの黒岩くんが、上半身を斜めに傾けて


チュ!


私の唇を、塞いできたから。




一瞬だった。

プニュってなった。



唇同士が甘く沈み合って……

すぐに離れて……



今のって私の……ファーストキス?!