今まで気づかなくて、ごめんなさい。
黒岩くんの色っぽく波打つ髪から、水がしたたり落ちてる。
よく見ると、制服もびしょぬれだ。
そっか。そういうことか。
私が濡れない位置に、傘をさしてくれていたんだ。
学校を出てから、ずっと。
黒岩くんのさりげない優しさが、心にしみわたる。
もう少し一緒にいたい。
黒岩くんとおしゃべりをしてみたい。
どんな人なのか知りたい。
何が好きなのか教えて欲しい。
私のことも、知って欲しい……
欲望ばかりが、むくむくと膨れ上がってきちゃった。
こんなこと、人生で初めてだよ。
今沸き上がっている、グチャグチャな想い。
黒岩君に伝えたくて
ちゃんと言葉にしたくて
でも今は、伝える勇気がなくて……



