ねぇ、黒岩くん。
どんな気持ちで、こぼしてくれた言葉なの?
私のこと、嫌いなはずでしょ?
それなのになぜ、私を傘に入れてくれてるの?
どうして、私の手を離してくれないの?
器具庫で、由乃って名前を呼んでくれたのは……なぜ……?
ちょっとだけ、私の前を歩いていた黒岩君。
ぴたっと足を止めた。
急なことで、前のめりになる私。
黒岩くんの背負っているリュックに、私の鼻がグサりと突き刺さる。
ちょっとだけ痛い。
鼻を手でこすって、痛みを和らげよう。
そう思ったのに……
「俺から、離れすぎ!」
黒岩くんはあきれ顔で、私の手をグイッと引っ張るんだもん。
勢いあまって、今度は黒岩くんの胸の中に飛び込んじゃった。
ひぃあぁぁぁ。
どどどど……どうしよう……
私の背中が、猫みたいに丸くなってる。
だから、私の耳は黒岩君の心臓にぴたりとくっついちゃっているわけで。
もちろん、制服の上からだけど。



