「夏希ちゃん、ありがとう」
鏡越しに、笑顔をこぼしてみる。
でも失敗だったみたい。
夏希ちゃんはハッとした表情を浮かべたかと思うと、笑みを消してしまったから。
「ありがとうじゃなくて……『消えろ』って言えばいいのに……」
「えっ?」
「由乃ちゃんは私と違って、そんな酷いことを言うタイプじゃないか」
なぜ、悲しそうに瞳を陰らせているの?
夏希ちゃんは私の斜め前の壁に背中を預けると
「由乃ちゃんってさ、なんでも持ってる贅沢な子だって思ってたんだ」
重い溜息をこぼした。
「可愛くて、男女関係なく群がってくる愛されキャラで。悩みがなさそうで、いっつも幸せそうで。悔しかったんだよね。自分より人気者が、クラスにいることが」
去年、クラスが同じだった時。
夏希ちゃんは、私をうらやましいって思っていたんだ。



