俺の唇の熱を宿した、張本人はというと……


「今すぐ……隠れたい……」



燃えそうな頬を隠すためか、俺の後ろに回りこみ



「顔が燃えそう……恥ずかしすぎだよ……」



ボコボコと俺の背中を叩いている。


熱を帯びた顔を、俺の背中に押し当てながら。





以前、由乃に伝えておいたはずだけどな。

体育終わりの器具庫の中で。



『俺ってこういう暴走をするから、覚えておいて』って。




「はずかしいことは……二人だけの時で……お願いします……」



俺の背中に張り付く由乃が、俺の制服を引っ張っている。



顔が見えていなくても、存在自体が可愛い。


オロオロと恥ずかしがる由乃に、俺は沼っちゃうんだよなぁ。




俺はにんまり微笑むと



「ごめん。その約束はできそうにない」



いじわるっぽいワイルド声を、由乃に吹きかけた。