立ち上がり、椅子を中川の机の下に戻した由乃。
俺の机の真ん前に立ち、ポケットから何かを取り出した。
毛糸?
手のひらの長さくらいか。
色は真っ赤。
1周、2周、3周。
由乃は俺の左の薬指に毛糸を巻き付け、最後はリボン結びで、縛り目を止めた。
「何……これ……」と、戸惑う俺。
「えっとね……」と、目を泳がせながら言葉を詰まらせる由乃。
「勝手にこんなことして……本当にごめんね……」
まるで怒られるのが怖い子供のよう。
シュンとした顔で謝ってきた由乃が謝ってきた。
はぁ~。
やっぱり俺って、由乃を怖がらせているのかぁ。
好きな子の心を縛りつけたくて、笑いかけるようにしてる。
積極的に。由乃だけに。
だがボーっとしてる時の顔でも、俺は威圧感がにじみ出ているらしい。
眼圧が強い。眉も目も吊り上がっている。
それは子供の頃から、勝ち負けの世界で戦ってきたからだと思うけど。
バドミントンコートに入った瞬間
「こいつには勝てる気がしない」
対戦相手が俺にビビるよう、凄みを磨いてきたから。



