ひしめき合う『愛情』と『恐怖』
由乃への愛が重すぎるからこそ生まれる、闇の感情なんだろうけど。
かといって、由乃への恋心を軽くできるわけでもなく。
『俺が世界で一番、由乃を深く愛する男でいたい』
変なプライドも重なって……
両想いの幸福感に浸りながら、恋の絶頂期が過ぎてしまう恐ろしさに、身震いせずにはいられないんだ。
「はぁ~、マジでかっこ悪っ……」
大好きな女の前では、完璧な男でいたいのに……
顔面を机に押し当てながら、漏らしたぼやき。
頭にぬくもりを感じ、俺はハッとなって顔を上げた。
俺の席のまん前は、中川の席。
彼の椅子に、由乃が座っている。
――他の男の椅子に、座らないで欲しい。
そんな願望なんて、由乃の顔を見たら一瞬で吹き飛んだ。
だって、椅子を俺の方に向けて座る由乃は、顔だけじゃなく耳まで真っ赤になっているから。



