ニコっと笑ってみた。

沈黙が気まずくて。


笑顔が引きつっちゃうのは、もはやしょうがない。


10秒後にやっと、黒岩くんの口が少しだけ開いた。



「……別に」




ひぃえぇぇぇ……


ごごご、ごめんなさい……



私に話しかけられたことが、不快だったんだよね?


ムスッとした顔で、プイッと顔を背けられちゃったし。



なぜ私は、話しかけちゃんだろう。


黒岩君は、女子嫌い。

女子と関わらず生きたい人種だって、わかっていたはずなのに。



後悔を胸に、私は器具庫から出ていこうとしたのに……


目を吊り上げたままの黒岩君が、ドアをピシャリ。


開けっ放しだったドアを、勢いよく閉めたんだ。