「茜ちゃん、私は器具庫にボールを片付けてから教室に戻るね」


「由乃、悪い。先生のとこに行かなきゃいけないから、先行くよ」



茜ちゃんとは別行動。

体育館の奥の奥にある扉まで歩いて、私はカゴにボールを戻したんだ。


――教室に戻ろう。


そう思って、器具庫から出ようとしたら……



入ってきたの。


ジャージ姿の黒岩君が。


ご機嫌斜めなのが丸わかりなくらい

眉間に深いしわを寄せながら。



えっと、、、何かしゃべらなきゃだよね?


薄暗くて狭い空間に二人きり。

この気まずい空気を、払拭しなきゃ!



えっとえっと……



「男子は体育で、バスケをやってたね。楽しかった?」



うわっ。

なんか、幼すぎる質問になっちゃった。