コートの後方に飛んできたシャトルを、その男の子は必死に追いかけている。
なんとか羽をとらえようと、ラケットを持つ手を伸ばしスライディング。
でもガットに当たったシャトルは、無情にも相手コートとは正反対の方に飛んで行って。
もう一点取られてしまった男の子は、「くそっ!」と悔しそうに自分の膝を叩いた。
2階の客席に飛んできたシャトル。
今、私の足元に転がっている。
私はシャトルを拾い上げると、2階席の柵から上半身を乗り出した。
「あの!」
私の声に気づいた男の子が、イラつき顔で私を睨みつけている。
「これ、飛んできました」
私はその子に向かって、シャトルを下に投げ落とした。



