「黒岩君。このシャトルって?」
「由乃はまだ、思い出せない?」
道路にいた黒岩くんが、我が家の庭に入ってくる。
ベランダの下まで来ると、私を見上げて真っ白な歯を光らせた。
「あの時、2階の応援席から俺にシャトルを投げてくれただろ?」
あの時?
……あっ。
思い出した。
あれは私が小学校6年生の時。
お父さんと、体育館に卓球をやりに行った日。
「ごめんよ~。卓球が込み合っててさ。台が開くまで待っててくれる?」
体育館のスタッフさんに頭を下げられ
「しょうがない。時間をつぶすか」
私とお父さんは、大体育館でやっていたバドミントン大会を見ることに。
2階が一周、応援席になっている。



