茜ちゃんはイヒヒと笑って、窓を指でトントン。
ほぼ真下まで下がっていた視線を、私はゆるっと上げてみた。
我が家の庭の向こうには、滅多に車が通らないような細い道路がある。
そこに立っていたのは……
ジャージ姿の……
黒岩くん?!
右手にはラケット、左手にはシャトルを持っている。
今にもシャトルを、下から打ち上げそうな体勢。
2階の窓ぎわに立つ私に気づいたみたい。
黒岩くんは、ラケットを振り上げるのをやめた。
私は急いでサンダルをはき、ベランダに出る。
胸の高さの柵に上半身を押し当て、道路に立つ黒岩くんを見下ろしてみた。
私と黒岩くんの距離、約10メートルほど。
あれ?
上から見下ろすこの感じ。
どこかで味わったことがあるような……
デジャブかな?
でも、思い出せないよ。



