「千紗…」

「ほら、早く早く!」



私は急かすように佑斗にそれを求めるばかりで



「………じゃあ、するよ」

「うん!」



観念したみたいにそう言った佑斗と

夕日が照らす道の真ん中で

私と佑斗はキスをした。


軽く触れ合うだけの、簡単なキスを。


離れてスグに私達はジッと目を合わせた。



「………どう?幸せな気分になった?」

「んー……よく分かんない。特に変わらないかも」

「だろうね」

「佑斗は?幸せな気分になった?」



この時の佑斗の顔は

影でよく見えなかったけど



「俺も、変わらない」



私と同じ感覚だったということだけは覚えてる。