「じゃあそろそろ行くね」

「ん。」



ひらひらと手を振って

佑斗の隣を通り過ぎた途端



「千紗」

「うわっ」



突如腕を掴まれて軽く身体が後退する。


トンっと身体が当たった先は、佑斗の身体。



「なんか良い匂いする」

「え……、…あ。さっき友達にヘアオイル貸してもらったけど……それかな?」

「へぇー」



急にビックリした……。


佑斗ってこんなに力強かったんだ、って。

なんだか今、佑斗が『男』なんだということを、凄く実感した。



「…この匂い好きなの?」

「うん。結構好き」

「そう…なんだ。ちょっと意外…」



意外なのは、私の胸も。

なんで今、こんなにドキドキしてるんだろう。