「だからさ、黒いところは削って綺麗なところだけを積み重ねたらちょうどいいケーキの大きさになるんじゃない?」

「いいね!そうしよう!!」



佑斗のアイデアのおかげでママが帰って来るまでに無事ケーキは完成した。


市販に比べればやっぱり見た目も味も落ちちゃうけど、ママは何枚撮るのってくらいにその手作りケーキをスマホに収めて喜んでくれた。


ママが1番美味しそうに食べていたのは某ピザ屋さんのマルゲリータだったけど(パパが買ってきてくれた)



「ママ ミルフィーユ生まれて初めて食べたかも」

「それ一応ショートケーキなんだけどね」



まあ喜んでくれたし、
それはそれでおっけーなんだけど。



私はこのショートケーキ(仮)を食べる度に何故か佑斗が思い浮かぶ。



あの時の、あの瞬間が。


唇に触れた、指先の感覚が。








「(なんで消えないんだろう)」