「ねえ、もう一個食べる?」 「………………」 ちょっとした嫌がらせのつもりだった。 また同じくらいのサイズにちぎって、佑斗の口に突っ込もうと企む私。 けど 「……ん?」 パシっ、と。 その手首を掴まれたかと思えば 佑斗はそのまま、その生地を口にした。 私の手から、そのまま。 手が、祐人の唇に、触れる。 柔らかくて 微かにあったかくて。 なんだか指先にキスされたみたいだった。