「……悪い。気を遣わせて」
「やだ!……って言いたいところだけど、今まで通り接してくれるなら許してあげる〜」
「約束するよ」
そう言って俺はその場から離れようとした身体を戻し、その子の隣に立った。
「てかさ。ずっと聞けなかったんだけど、あの日大丈夫だった?」
「あの日?」
「ほら、文化祭の最終日。
私とユート買い出しに行ったじゃん?その時に靴箱で会った子、ユートのこと待ってたんだよね?あの後怒ってなかった?」
「あー……」
あの日、俺のクラスは文化祭の打ち上げを急遽教室ですることになり、ジャンケンに負けた俺とこの子が買い出しに行くことになった。
で、その途中の靴箱に千紗がいた。
しかも俺の靴箱の傍に。
一度断ったというのにそれでも待っていてくれたことは素直に嬉しかったが、買い出しを放ったらかしにするわけにはいかない。



