ある日には、監督は、
こんなことも言った。



「きみが、
 芝居の勉強。

 撮影見学に飽きてブラリと

 楽屋を覗いたとする。


 そこには
 お昼の、

 皆のお茶のコップと。

 熱いお茶が置いてあった、

 とする。


 きみがするのはせいぜい、

 コップを並べる事。
 くらいだな?
 きみにやる気があるなら。

 手に持っても熱くて火傷を
 するか、


 下に置いてもお茶が跳ねて

 やっぱり火傷をするか
 コップが吹っ飛ぶ事もあるぞ?
 ハハっ!試してみるか」


監督はおかしそうに笑いながら


「だからきみは、並べるまでで
 いい。
 そして誰もその事に、
 気付かない。

 ADさんが不思議がる、
 くらいダ。

 お昼にお茶があるのは

 皆にとっては当たり前
 だからな


 それでも誰かに、
 みつかったらー。」