魔王の婚約者

 なぎさは宮廷の庭で妖精と話していた。
 なぎさは地味なドレスを着ていた。
 「一人でぶつぶつ言っている人がいるわ」
 という婦人がいた。
 「誰としゃべっているんだ」
 と、騎士がいった。
 「独り言言っている人がいるわ」
 と、婦人がいった。
 「誰かとしゃべっているみたいだ」
 「不審者だわ、不審者よ」
 と、婦人が大声でいった。
 え、となぎさは思った。
 「不審者」
 「不審者」
 「不審者」
 と、みんながつぶやいていた。