魔王の婚約者

 スサノオはじめ、魔族たちは、西の海岸に集まっていた。
 晴れていて日がさしていた。日差しは強かった。うだるように暑かった。
 スサノオはあらあらしいが、端正な顔立ち。漆黒のつややかな髪が長い。切れ長黒い瞳。漆黒のイケメン。フェイスラインはシャープ。全身日焼けして小麦色をしている。上半身裸だ。鎖骨が浮き出ている。細い骨ばったからだをしている。腕は細いが筋肉質だ。血管がはしっている。下半身はスカートのような白い布をなびかせていた。ふくらはぎは太くたくましかった。
 足は長い。魔王の風格だ。
 右にはメイドの恰好をした天使のように翼のはえた女性がいた。青い髪ストレート、おかっぱ。
 左には背の小さい巫女さんの恰好をしたおかっぱの女性がいた。真っ赤な袴をはいていた。
 青い服を着た金髪の剣をはいたものがいた。大きい目、蒼(あお)い瞳をしていた。
 ピンク色の長い髪をした女の子がいた。赤いウエブがかった長い髪のものがいた。
 黒いワンピースに角をはやし、矢印のついたしっぽをはやし、大きいフォークのようなステッキを持った髪の長い女性がいた。スレンダーだった。
 白髪で長髪を後ろで束ねたロマンスグレーの老いた騎士がいた。
 さまざまな異形のものたちがいた。魔族(デモンズ)だ。
 天空には翼の生えた天使のような女性たちが舞っていた。
 「ああ、待ち遠しい。お美しいお嬢さんをぜひこの目で拝見したい」
 と、翼のはえた女性が言った。エミリア・スワロウだ。
 スサノオたちは、魔法の鏡ですでに井川なぎさを見ていた。
 やがて地平線に船が見えた。
 「おお、お舟が」
 エミリアが目ざとく見つけた。
 みんなが、前へと進んでいく。スサノオはその場にいる。あるものが指さした。
 船はどんどん近づいてくる。かなり大きい船だった。
 やがて船は岸に到着した。それはメルヘンチックな巨大な船であり、宝石をちりばめた美しい船だった。
 「うをー」
 みんなが歓声を上げた。
 「スサノオ様」と、エミリアは後ろを向いていった。
 「ああ」
 と、スサノオ。スサノオは船に近づいて行った。
 スサノオはジャンプして、船の舳先に乗った。
 アンドロメダ船上。
 舳先に載っているスサノオ。それはクリスタルでできた角のような舳先だった。風が吹き付けていた。スサノオは舳先を綱渡りのように歩いた。
 スサノオは船の上を歩いた。マストのふもとに船室への入り口があった。両開きの扉だった。宝石をちりばめた豪華な扉だった。
 スサノオは船内への入り口の扉を両手で開けて、入った。