魔法船アンドロメダ、船上。船の上に小屋のようなものがあった。そこからなぎさをお姫様だっこしたなぎさが、出てきた。天気が良く晴れていた。うだるように暑いが、そよ風が吹いていた。
 「あ」
 と、なぎさ。なぎさは手をかざした。太陽がまぶしかった。
 「大丈夫か」
 と、スサノオ。スサノオは歩いて行った。そうして舳先にたった。
 「うをー」
 と、遠くから歓声が聞こえた。浜辺の向こうに異形の者どもが見えた。なぎさは戦慄した。
 「安心しろ。みんなおぬしを大歓迎しているんだ」
 と、スサノオはいった。
 「なぎさ、しっかり俺につかまれ」
 「え」
 「ここから飛び降りるんだ」
 「え」
 「心配するな。俺は魔王だ。それにおぬしも魔法力は強いだろう」
 「はい」
 「安心しろ」
 その言葉はなぜか、なぎさの体と心のしみた。なぜか安心できた。あたたかい気持ちになれた。こんな気持ちは何年ぶりだろうと思った。
 「行くぞ」
 「はい」
 となぎさは答えた。なぜかスサノオと一緒だと、勇気が出た。スサノオはしっかりなごさを抱きかかえた。そうして、舳先から飛び降りた。下へと落下していく。なぎさは怖くなかった。下から風が吹き付ける。どんどん落下していく。
 「つくぞ」
 と、スサノオ。
 「はい」
 ざぶーん、と海の水がはねあがった。スサノオが着地したのだ。一瞬、振動を感じた。海水がかかる。冷たかった。一旦上へあがった海水が雨のように落下してくる。なぎさもスサノオも水浸しになった。
 「はははははははは」
 と、スサノオは豪快に笑った。なぎさも笑った。