箱の中には、美しい女性が眠っていた。黒髪のストレートで長い。前髪も長かった。白いタンクトップのワンピースを着ていた。箱の中には花がしきつめられていた。井川なぎさだ。
 スサノオはみとれた。なぎさ。スサノオは、なぎさにそっと口づけた。なぎさは目を覚ました。スサノオは口を放した。
 「スサノオ様」
 「なぎさ」
 なぎさは、スサノオをみつめた。夢に見たスサノオだった。鏡よりずっとハンサムで、優しそうであった。
 「どうした?」
 と、スサノオ。
 「いえ」
 と、なぎさはほほを赤らめた。
 「抱いてもよいか」
 「え」
 なぎさは、赤くなった。
 「あの、ええ」
 と、なぎさ。
 「そうか」
 と、スサノオ。スサノオはなぎさを両手で持ち上げた。スサノオはなぎさをお姫様だっこしていた。
 「立てるか」
 と、スサノオ。
 「え、ええ」
 スサノオはなぎさを下した。なぎさはたった。
 「歩けるか」
 と、スサノオ。
 「ええ」
 と、なぎさはいった。なぎさは歩こうとした。
 「あ」
 と、なぎさが前へ倒れ掛かる。スサノオが支えた。
 「やはりまだだめか」
 と、スサノオ。
 「俺が抱いてもいいか」
 と、スサノオ。
 なぎさはほほをあからめ、
 「ええ」
 と、諾した。スサノオは再び、なぎさをお姫様だっこした。スサノオは部屋の出口まで行った。スサノオは部屋を出た。廊下が続いていた。スサノオは廊下を進んだ。階段があった。スサノオは階段を上った。頂上へたどり着いた。船外への扉がある。
 「なぎさ、外に出るぞ」
 と、スサノオがいった。
 「はい」
 と、なぎさ。
 「日の光にあたるぞ。久々であろう」
 と、スサノオ。スサノオは扉を開けた。そうして外へ出た。